僕が半導体工場で働いていたとき、「期間工」で働いた経験があると言う方に出会ったことがありました。みんなからは、「マコト君」と呼ばれていて、お金が貯まったら、仕事を休んで、好きなことをやると言う面白い生き方をしていました。
マコト君が仕事を休んでやっていたのは、バックパッカーです。高校を卒業してから、バイトで1年頑張って働きました。ようやく貯めたお金で、3ヶ月間海外に一人旅に行ったのが、バックパッカーになったきっかけです。そして、もっと長期間かけて旅をしたいと思うようにってから、期間工で働くようになりました。
期間工でお金を貯られるようになると、リュック一つ持って、東南アジアや東ヨーロッパを1年以上かけて旅ができるようになり、ますますバックパッカーにハマるようになっていったんです。
僕は、彼の生き方がうらやましいなと思っていました。普通に働いていても、なかなかお金は貯まらないし、仕事を一年以上も休んで、海外旅行に行くなんて、無理だと思っていました。マコト君はどうやってお金を貯めて、好きな旅をすることができたのか?
それは、「期間工」と言う働き方に理由があったんです。期間工とは、自動車やバイクなどの大手の製造メーカーの工場で、通常の給料をもらいながら一定期間働くことです。
そして、期間工の最大の魅力は、住居費や光熱費がほぼかからない寮や住宅が提供されることです。なので、生活費がかからず、その分を丸々貯金に回せると言うことです。1年くらい期間工をすると200万円くらいは貯められるんです。
「働いても働いてもお金が貯まらない」、「やりたいことはあるのに、お金がない」と言うあなたへ、期間工をやれば、やりたいことがやれるようになると言うことを、マコト君の話を元にまとめてみました。
期間工で1年間貯金!1年以上のバックパッカーが可能
マコト君は、僕より5歳年下の青年で同じ班のメンバーでした。黙々と仕事をこなして、後から入ってきた僕に、丁寧に仕事を教えてくれました。マコト君は、休憩時間になると本を読んでいました。どんな本か気になっていたので、聞いてみると「越智幸生さんの小心者の海外一人旅」。この本は、偶然にも僕のお気に入りの一冊でした。
この本の作者の行動力と仕事がないのに、一人旅に出ると言う自由奔放さに憧れていました。僕にとって、思い入れのある本を読んでいたマコト君にとても興味が沸き、話をするようになりました。その中で期間工で働いていたことも、一緒に聞けたんです。
マコトくんが期間工で働き始めたのは、20代前半。1年くらい期間工で働くと、200万円はお金が貯まって、1年以上の旅の資金になるそうです。気に入った工場だと、2年間近くいたこもあるそうですが、大体は1年でお金を貯めて、旅に出るというパターンでした。
期間工で働いている人は、いろんな事情があって、マコト君みたいにお金を貯めたい人が大半です。中には、散財し過ぎてお金がいつもない人、契約満了時にまったくお金がなくて、次の仕事を見つけるまで途方に暮れる人もいます。
ここで勘違いして欲しくないのが、期間工ってそんなに給料が高いのか?と言うとそうではありません。期間工の日給は、メーカーによって違いがあるものの、平均すると1万円前後で、月給にすると20万円くらいです。これだと魅力を感じないんですが、生活費が驚くほどかからないので、その分貯金にまわせるんです。
マコト君は期間工で働いているときは、「月に5万円もあれば十分に暮らせる」と言っていました。なぜなら、家賃や光熱費はかからないからです。5万円の内訳として、食費が3万3千円くらい、あとは携帯代などの通信費、娯楽として本を買ったりしていました。
5万円の生活費の中で、食費に占める割合が大きいです。マコト君は「期間工で働いているときの楽しみは、食事なので、あまりケチケチしたくない」と言っていました。とはいっても、食事の大半は寮や工場の食堂で食べるので、1食350円くらいで収まっていたそうです。
食費は寮の近くにスーパーがあるか、食事補助があるメーカーに勤務するかなので、金額は変わってきます。近くに、コンビニばかりだと食費はもっとかかるとも言っていました。こればかりは、配属されるところ次第なので、仕方ないです。
マコト君の生活費を聞いていると、1年間で200万円貯めるのも現実的だと思えてきました。20万円の手取りから、5万円の生活費を引くと、15万円も残るんです。これを1年間貯めれば、180万円です。それに、期間工は契約満了すると慰労金が出るので、これも入れると確実に200万円は超えてきます。
期間工で頑張って、貯めたお金を資金にして、1年以上の放浪の旅に出るなんて、本当にかっこいい生き方だと思いました。マコト君は、将来的には、「旅で得た経験をインターネットで発信して、バックパッカーを応援する仕事をやりたい」と言っていました。
「働いても日々の生活費に追われて、貯金ができない…」、「やりたいことはあるのに、お金がなくてできない…」って悩みを解決する選択肢の一つとして、期間工という働き方もありですね。それにしても、マコト君は刹那的な生き方をしているようで、実は将来のこともしっかりと設計していたんです。すごいですよね。
働いても働いても貯金なしだったら期間工もあり
働いてもお金が貯まらない…どうしたらいいんだろうって気持ちよく分かります。僕も、派遣で働いていたとき、貯金がないから何もできないって思っていました。僕にも、お金を貯めて、一度くらいは海外を好きなようにまわってみたいという夢があったんです。
でも、派遣でもらっていた給料は、手取りで15万円くらい。ここから、家賃や光熱費、食費を引くとほとんどお金が残らないんですよね。節約してみても、たかが知れた額なので、節約することが虚しく思えることもありました。
だったら、仕事を増やしてもっと頑張ればいいけど、それでも1年以上の旅の資金作りは簡単ではない・・・そう思ったら、夢をあきらめたほうが、楽だと思ったこともありました。そんな過去があった僕が、出会ったのがマコト君でした。彼のお金の貯め方は、実に効率がいいなって思いました。
マコト君は最初は実家暮らしで、アルバイトをしながらお金を貯めていました。でも、アルバイトでお金を貯めても、数ヶ月の旅に出たらすぐに無くなってしまって、また1年以上アルバイトをしなきゃいけない…
そこで、1年以上の旅の資金を作るために、始めたのが期間工の仕事でした。アルバイトをするよりも稼げる、しかも生活費を安く抑えられる。マコト君は、1年我慢して働けば、まとまったお金が貯められるとすぐに分かったんです。
期間工を長く続けるコツは開き直りだ!
確かに、期間工を始めた頃は、「もっと早くやれ!俺だったこれくらいできた」などと厳しい上司もいたそうです。「生産を管理するパソコンの前いるだけのくせに、だったらお前がやってみろ!」とイライラしながやることもあったと言っていました。
でも、期間工の仕事に慣れてくれば、「(上司が)また何か言ってる~」と聞き流せるようになったそうです。さらに、作業のルーティーンワークにも慣れてしまうと、手だけ動かして、頭は別のこと考えられるようになってくると教えてくれました。
これは、半導体工場で同じことを僕も経験したことがあったから、マコト君が言っていたことよく分かります。マコト君が考えていたことは、やっぱり次の旅の計画でした。「今度はマレーシアからマレー鉄道で北上してみよう」など頭の中では、楽しみながら仕事をやっていたんです。
マコト君は、「期間工で大事なのは開き直ってやること」だと言っていました。いろんなことを気にして、開き直てってやれない人はすぐに辞めていくそうです。逆に、きつい仕事でも、旅の資金作りのためだと開き直っているから、耐えられるし、うるさい上司がいても、我慢できるんです!
貯金ができないから、夢をあきらめるのはもったいないです。期間工でお金を貯めて、やりたいことをやってはどうですか?