サッカー中継をみているとたまに「リトリート」ということばが出てきます。
最近では、リーガエスパニョーラ、セルタ対レアル・マドリードの試合で、セルタの守備のやり方について「リトリート」と言っていました。
今回は、リトリートの意味やセルタがどんな守りをやっていたのかについて語ってみたいと思います。
リトリートについて
サッカーの守備では、ボールを奪われて相手にボールをキープされたところから始まります。
そのとき、プレッシャーをかけて素早くボールを奪い返しにいくことが守備の基本ともいえるでしょう。
逆に、ボールを奪われたらすぐに自陣に帰って、守備の陣形を整えて、敵の攻撃に備える守備もあります。
これをサッカーではリトリートと呼びます。
リトリートをする目的としては、守備における数的不利な状況を作らせないということがあります。
無理にボールを奪いにプレッシャーをかけに行って、失敗してしまうとそこのスペースが空き失点につながることもあります。
なので、リトリートを守備の基本としているチームは、ボールを奪われたら素早く自陣の守備に戻りポジションを整えるという共通理解が必要になります。
決して守備的というわけではない
「リトリート(retreat)」というのは、サッカーでは守備戦術の一つですが、本来の意味は、「退却、撤退、後退」。
日本語になるとなんだか消極的(マイナス)なイメージで私は、守備的なサッカーに思えてしまうんですが、そんなことはありません。
リトリートすれば結果的には、引いて守ることになってしまいます。
ただ、始めから守備ブロックをつくって、相手の攻撃に備えるというわけではありません。
下がって守備陣形を整えるときに、チャンスがあればプレッシャーをかけてボールを奪いにいくこともあります。
攻撃を遅らせるディフェンスも合わせて行いながら、守備の陣形を整えて行くやり方がリトリートです。
リトリートをやるのは守備的に戦うチームだけではなく、攻撃的なチームでもカウンター対策として効果的。
カウンターを受けてしまえば、数的不利になって失点してしまうリスクが増しますが、そのときに無理にボールを追うのではなく、素早くポジションに戻って守備の陣形を整えることも必要な手段です。
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セルタがレアル・マドリードに対して行った守備とは?
15-16リーガエスパニョーラ第9節、セルタ・デ・ビーゴvsレアル・マドリード。
この試合セルタは、レアル・マドリードに前半に2点を先制されてしまいました。
その後、ノリートを中心にマドリーを追い詰めていくシーンがスリリングでおもしろい試合でした。
結果的に1-3で敗戦しましたが、マドリーのゴールキーパー、ケイラー・ナバスのファインセーブがなければ、セルタが勝っていたかもしれません。
立ち上がりからセルタは自陣でボールを回しながら落ち着いた展開で、マドリーの選手がボールを持つとプレスには行かずに自分のポジションに戻って守備をするシーンがみられました。
モドリッチがアタッキングサード付近でボールをキープしたときに、正面にいたセンターバックのセルジ・ゴメスがボールを奪いに行かずに、バックステップで下がりながら守備をしていたのが印象的。
マドリー対策としてリトリートして守備をすることが、セルタの戦術だったのでしょう。
セルタは、全ての守備がリトリートしていたわけではなく、前線の選手は高い位置でプレスをかけてボールを奪う動きもありました。
なので、マドリーの攻撃に対してベタ引きしているという感じにはなっていませんでした。
セルタの守備は、前線ではプレスをかけて、ディフェンスラインをリトリートして整えようとしているようにみえました。
ところが、ディフェンスラインが下がってしまうことで、中盤でマドリーが自由にボールを持つ時間が多くなり、前半早々に失点。
ここでセルタはリトリートして引き込む守備ではなく、プレスをかけるようになり、セルタはリズムが出てきました。
しかし、今度はノリートが攻めで上がり、手薄になった左サイドを突かれて2失点。
セルタは、このあと試合終盤まで失点せずに、マドリーのゴールを脅かしていただけに、立ち上がりの守備のやり方が悔やまれました。
セルタの守りをみているとリトリートの効果があまりありなく、難しいところもあるなと感じた試合でした。
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