サッカーの攻撃をみていると守備を固められてどうしようもなくなる時間帯があります。
それを打開しなければ守備を固めたチームの思惑通りになってしまいます。
そこで、必要なのがボランチからの鋭い縦パス。
今回は、ボランチには敵の守備ブロックを崩す役割があると実感した試合について語ってみたいと思います。
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ボランチの役割のおもしろさ
ボランチの役割は多様化していて、守備に重きを置くだけではなく、ゲームをコントロールするパスセンスが必要になっています。
ボランチからのパスで重要なのが縦パス。
これはくさびのパスともいわれていて、攻撃のスイッチを入れることができます。
有効な縦パスがあれば、守備ブロックを一瞬にして崩し、攻撃を有利に進めることができると分かって、観戦してておもしろいと思えるポイントです。
くさびのパスについては、一度書いたことがありました。
こちらはくさびのパスがなくて残念だったという内容でしたが、今回はくさびのパスが良かったというはなしです。
ここで、取り上げるのは、マンチェスター・ユナイテッドのキャリックとシュバインシュタイガー。
2015-16プレミアリーグ第12節、ウェストブロム戦をからです。
ウェストブロム戦でのパスの本数
キャリックとシュバインシュタイガーは2人で186本のパスを成功させていました。
Bastian Schweinsteiger & Michael Carrick completed 186 passes yesterday, more than the entire West Brom side (178). pic.twitter.com/yvy35oSg8P
— Squawka Football (@Squawka) 2015, 11月 8
シュバインシュタイガーはボールを持つとボールを奪われないように、安全に味方へ出すパスが多かったんですが、鋭い縦パスもありました。
対して、キャリックの方は何本もルーニーやマルシャルへ縦パスをだしていました。
これは、シュバインシュタイガーはボールをキープし、キャリックには積極的にパスを出すようにとファハール監督が指示を出していたためだと思います。
パスコースを確認してみるとサイドへ散らすパスと縦パスが多いことが分かります。
横パスが多かったのは、ウェストブロムの守備ブロックをサイドへ広げる効果がありました。
中で固められた守備ブロックを横へ広げれば、中央にスペースができて、縦パスを通しやすくなっていました。
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キャリックの縦パス
ウェストブロムは守備を固めてバイタルエリアを閉めるというのがゲームプランになっていました。
ウェストブロムが守備的に試合を運んだことは数字にも現れていて、前半はユナイテッドが76%のポゼッションに対して、ウェストブロムは24%。
(試合終了後は、ユナイテッド68%、ウェストブロム32%)
ユナイテッドが圧倒的にボールを支配する時間が長ったんですが、シュートは7本でそのうち枠内は1本。
守備を固められたウェストブロムになかなかフィニッシュまでいけず苦戦していました。
ウェストブロムのプレッシャーを受けて、うまく前を向いてプレーすることができないユナイテッド。
後半もこのような展開が続いていましたが、ユナイテッドは52分に先制。
マルシャルが左サイドからクロスを上げると、ウェストブロムのディフェンダーがボールを跳ね返しました。
しかし、跳ね返ったボールはペナルティボックスの前にいたリンガード。
リンガードはうまくボールをコントロールしてゴールの中にボールを入れました。
この場面でマルシャルにボールを出していたのがキャリックでした。
守備ラインが低いウェストブロムに対して、マルシャルはキャリックとパス交換して、ウェストブロムのディフェンダーを引き出そうとしていました。
ここでキャリックの縦パスが効果的になっていて、攻撃の起点となる動き。
その後もキャリックは縦パスで攻撃のスイッチを入れていましたが、印象に残ったのは67分。
キャリックの素早い縦パスがマルシャルに通った場面。
マルシャルは背後に一人ディフェンダーを背負いながらのポストプレーで側にいたシュバインシュタイガーへパス。
これは得点にはなりませんでしたが、キャリックの縦パスが光った場面でした。
この試合でキャリックの縦パスから直接得点がうまれる場面はありませんでしたが、守備を固めた相手に対しては改めてキャリックのような縦パスが出せるボランチが必要だと思いました。
日本代表はアジアでの戦いは、守備を固められることが多くなかなかそれをこじ開けることができません。
ワールドカップ2次予選で厳しいスタートとなったシンガポール戦を思い出してしまいます。
キャリックのような縦パスを出して打開できるようになればいいのですが・・・
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